GZ-7094 ブルー・トレイン 夢と憧れの寝台特急「富士」



まだ聞き終えていないSLのレコードが山積みになっている中、このレコードに手を付けたのは「監修:関沢新一」という文字を見つけたからです。

関沢新一さんは、脚本家、作詞家、写真家と多方面で活躍されましたが、僕にとっては昭和ゴジラの脚本家の印象が強い方です。これまで氏のことを詳しく調べたことはなく、鉄道のレコードにその名前を見て初めて鉄道好きだと知りました。晩年は写真集出版や模型のレイアウトなどをされたようです。




早速写真集を購入してみました。
こちらについては割愛。


氏の名前と共に「協力:日本国有鉄道」とありますが、録音技師の名前はありません。

東京発西鹿児島行きの24時間26分を要所を押さえて収録しているのですが、ひとつひとつのトラックがとても丁寧に細部まで録音されていてます。発車や車内のアナウンス、チャイム、検札などを途切れることなく収録していて「自分が乗っていると思わせる」趣向が凝らしてあると感じました。到着のチャイムがフェードインしてくるのではなく走行音から入ってくる、というような感じです。

僕の中でのハイライトはA面の「宇部駅にて」。名古屋弁(?)での乗客の会話が録音されていて『気をつけてね、ほいじゃ』『さいなら』『ほな体に気をつけやぁよ』という別れのやりとりが聞こえてきます。思わずホロリとしてしまいました。東京を発って一晩、たまたま乗り合わせた一期一会なのか、もっと特別な間柄なのか。いろんなドラマを連想しました。脚本家の存在を感じました。

列車が下っていくにつれて、解説書にもある「郷土色」が強くなっていきます。アナウンスや車内販売が訛り混じりになり、「西鹿児島駅到着」では日豊線の勾配や気温についてのやりとりがあってとても旅情豊かです。機関車の変遷でもそれは感じられ、EF81やDF50は最たるシーンだと思います。

機関車交換の音もしっかり入っていて、ともすると間延びに感じられるのですが、あえて置かれた”間”だと感じます。実際の旅と同じように、何もすることがない”間”が存在することでより臨場感が増すのだと思いました。先送り不可の再生方法がゆえの”聴かされてる”感があるのもまた、それを手伝っているのかなとも思いました。

実際に乗ったことがない僕でも疑似追体験をしたような感じになれるとても濃縮された濃厚なレコードでした。鉄道モノというよりも旅モノと呼ぶほうが相応しいかもしれません。根強いブルトレファンのみなさんの気持ちがわかったような気がします。


40分のタイムスリップ、円盤鉄。
とても良いです。

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