木曽森林鉄道のボールドウィンのその後

木曽森林鉄道で活躍した10両のボールドウィン。

そのうちの2両がカリフォルニアに現存しているというので探してみました。



事の発端はいま流行りの?clubhouse(笑)

とある鉄道ルームに参加させてもらおうと自分がこれまで調べていたデータを見返していました。トークテーマが廃線跡ということで、興味はあるけど聞き専かなーと思い、結局自分の調べ物にw


ドイツの保存鉄道を調べていたとき、ミンデンの鉄道博物館がプロイセン王立邦有鉄道のT9.3を動態復元中で2020年の夏にロールアウトだと聞いていて、それがどうなったか気になっていろいろと調べ始めました。


このT9.3はT9.1からの進化形で単独で2060両も生産されたとされる名機。T9.1からを合わせると2778両になるらしい。ドイツ国鉄ではBR91という形式番号。デザインが結構好みで復活後に見に行けたらいいなーと思っていた1両。


そんなT9.3がロシアとフィンランドにも保存されているとWikiに載っていたので早速検索。どちらかといえばフィンランドに行きたいという雑な動機でフィンランドへw

Haapamäen Locomotive MuseumというところにあるらしいのだけどHPにも航空写真でも確認できずすでに撤去されているのかも…と思っていたらここに並んでいる機関車たちが気になって興味はそっちへシフトw

フィンランド国鉄VRの機関車たちだったようで、名機と言われるHr1も保存(野ざらしだけど…)されていた。中には日本ではあまり見かけない薪焚きの機関車もいて今度はそっちへシフト。日本でもD51(ミカド型機関車と呼ぶほうが正確か)をタイ向けに薪焚きにしていたらしい。


ここでやっと本題の森林鉄道へ(笑)なぜそこから森林鉄道にシフトしたのか覚えてなくて…薪焚きとかでググった結果かな…しばらくは海外向けに製造された機関車たちを調べていた気がするw

最初に辿り着いた記事が「赤沢森林鉄道の蒸気機関車が100歳に」みたいなタイトルで、それに惹かれた。というかまんまとホイホイに捕まったwそれでHPを見てみるとサラッと「2両がカリフォルニアに保存」と書いてあってびっくり。

赤沢森林鉄道というのは、赤沢自然休養林の奥にある長野営林局管内にあった森林鉄道(通称:木曽森林鉄道)の一部を復元したもの。正確には上松運輸営林署小川森林鉄道のはず。そこで当時運用されていたボールドウィンの機関車が静態保存されていて、100歳を期に車庫から出されてセレモニーをするというイベントだったみたい。いまは動いてないみたいだけど足回りが健在というのがすごい。

このボールドウィンは1915年から10両ほどアメリカから輸入されたもので、戦中に7両が解体され、戦後残った3両のうち2両が1960年にアメリカへ里帰りを果たした、という流れだったよう。日本に残った1両は1号機で、銘板が戦中に外されてしまい、現在は10号機の銘板を装着しているとのこと。

「ということはその製造番号から10個連番で検索すれば何かしら引っかかるかな」と思い検索。というのは、「カリフォルニアの交通博物館」としかHPには書いておらず、いくつかそれらしき博物館をあたったけど見つからなかった。なにせ1960年の話だからすでに解体されていても不思議ではない。

すると60873でヒット。10号機が60874だから最後の一つだった。ほぼ諦めたよね(笑)鉄道車両の付番でよくある話で、日本での付番は配備された順番だから必ずしも製造順に並んでいない。根気よく英語で調べれば辿り着いただろうけど時短ができてラッキーだった。英語苦手だし。

60873は6号機で、1960年にアメリカの個人が購入して2004年にCalifornia State Railroad Museumに寄贈されたそう。ていうか最初にここ探したし。まぁ展示物を全部載せてるのはイギリスのNational Railway Museumくらいか…。

そこからもう1両も見つかって、7号機(60069)だそう。やっぱり製造順じゃなかった。こちらもアメリカ人に売却され、しばらく自動車店?の倉庫で眠り、1998年にSan Luis Obispo RR Museumに寄贈された。こっちは初耳の博物館。でもやっぱりコレクションに載ってないからもう残ってないかもしれない。ただ、こちらは個人宅から搬出される際の動画が残っていてびっくり。



どちらの博物館もカリフォルニアにあるし、ジョージタウンにはSierraNo.3がいるRailtown 1897 State Historic Parkがあるし、ツアーできるじゃん!って思ったけどサンフランシスコからロサンゼルスへ縦断するような旅程になる…う~ん…。

そして今回一番びっくりしたのは、これらの内容を記事にしていたのがRoger Farnworthさんという方で、イギリスの牧師さんだったこと。僕が持ってる世界鉄道百科図鑑もイギリスの方が編集してた。イギリス人の蒸熱すごい。

日本の山奥でコツコツと働いていた機関車が里帰りを果たし、母国でその歴史を伝えてくれているというだけでなく、それをまとめてくれたのがイギリス人というロマン。最高でした。


今回の本題はここで終わり。

実は、このRoger Farnworthさんが別の記事でレビューを書いているEarly Japanese Railways 1853-1914という本が非常に気になってポチッとな。せっかくなのでハードカバーを注文。米国からやってきます。もしかしたら明治村の蒸気機関車12号の現役時代の写真が拝めるかも。

鉄道歴史浪漫の沼は底なしです。

コメント

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  2. 中部森林管理局のモノクロ森林紀行というアーカイブにBaldwin41997の写真があった。木曽森林鉄道の2号機(運用開始当初)で、赤沢自然休養林で保存されている1号機の1915~1934年当時の写真と思われる。1934年に改番され1号機となった。
    現在の製造銘板は60874となっているが、大戦中に失われたオリジナル(41997)の代わりに10号機から移設されたもの。


    https://www.rinya.maff.go.jp/chubu/photo/img/monokuro/14.rintetu-g-14.jpg

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  3. 一部訂正。

    製造番号60873を6号機と書いてしまったけど、正しくは9号。60874が10号機だから変だなと思っていたら、アメリカに渡って改軌されたようだからそのときに6号にされたのかも。

    ちなみにこの記事は1934年の改番後の番号で書いている。なので9号機は元17号機。ややこしい。

    別で記事を書こうかな。

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