argo TRANSACORD

英国のargo TRANSACORDはargoのサブレーベルの一つで、当初はTransacordという社名でピーター・ハンドフォードによって設立されました。1955～1961年にかけて鉄道レコードを制作し、その間にargoと契約して新録の発売もしましたが、1957年にはDECCAに買収され、さらにそのDECCAが1980年にPolyGramに買収されてしまいargoは廃止されてしまいました。
その後、argoのオーナーが新レーベルASVを立ち上げASV Transacordとなり、新録と再販がリリースされました。1990年代からはCDのリリースやデジタルダウンロードも可能になりましたが、著作権移行により2011年でサービスは終了しました。現在は、英国国立鉄道博物館がピーター・ハンドフォードのマスターテープ等を保管しており、Transacordからデジタル音源のダウンロード購入ができます。

設立者であるピーター・ハンドフォード（Peter Handford）は、フィールドレコーディングの先駆者と言われ、WWⅡで陸軍映画写真部隊に所属し、戦後アルフレッド・ヒッチコックの「アンダー・カプリコーン」や「オリエント急行殺人事件 (1974年)」などに参加、「アウト・オブ・アフリカ」ではアカデミー音響賞を受賞しています。彼の鉄道愛はとても深く、早年時代からSLの録音に通っていたスコットランドのスティールロード駅（現在は閉鎖）に遺灰が撒かれたそうです。

彼はargo TRANSACORDでThe World Of Railwaysというシリーズを、ASV TransacordとなってからはSounds Of The Steam Ageというシリーズ名で再販と新録を発売していますが、上記のようなレーベルの変遷によりいくつかの版が存在し、その影響で日本のキングレコード盤にもジャケットデザインが異なるものが存在します。また米国にも同名のレーベルを設立していたDECCAですが、第二次世界大戦の影響でその関係が途絶し商標の問題が起きたため、英国DECCAは1947年よりロンドンレコードという会社を作り、米国やその他の国で販売しました。その結果、キングレコード盤にもそのロゴが印刷されるようになりました。 2011年にレーベルの歴史と包括的なディスコグラフィーが掲載された「Transacord: Sounds of Steam and other Transports of Delight」が出版されました。

その他に掲載したThe Power Of Steamは、1969年の英国フェアの際にキングレコード㈱から特装版として発売されたもので、収録内容だけでなく英国蒸気機関車の紹介なども記載されていてとても面白いレコードになっています。

*リンク
Nationl Railway Museum（英国国立鉄道博物館）ブログ：ピーター・ハンドフォードの歴史とアーカイブ
 Transacord Digital Web サイト（音源のダウンロード販売）

LP
【argo盤】

ZDA21	The Triumph Of An A.4 Pacific
ZDA28	Rhythms Of Steam

【DECCA盤】

TR130	ORIENT EXPRESS
ZTR105	Trains In The Night
ZTR108	The Triumph Of An A.4 Pacific
SPA438	Changing Trains
SPA439	Steam Locomotion - Rail 150
SPA440	GWR
SPA461	Great Central
SPA463	L.M.S.
SPA499	Vapeur En France (Steam Locomotives In France)
SPA506	L.N.E.R.
SPA529	This Is York
SPA530	A Double Head Of Steam
SPA557	Castles And Kings
SPA563	'Pacific' Power
SPA564	Trains In Trouble
SPA572	Midland And North Western
SPA579	Steam In Scotland